-幕間の幕間:Wait a minute .-



「でもさ、虹ってあまり良い兆しじゃないらしいよ」


草原から顔をあげ、アイオロスがそう告げた。
横で座っていたサガと視線が合う。


「そうなのか?」
「不吉の前触れらしい」
「…勿体ないな。あんなに綺麗なのに…」


見つめる先にある七色の天橋は、本当に綺麗だった。


「なぁ…俺が射手座を継承した日に虹が見えたんだろ?じゃあさ、それって凶兆って事なのかな?」
「何を云うんだ。そんな事、あるわけない」


すぐにそう強く否定してきたサガを、アイオロスはわずかに驚いた表情で見返した。普段、あまり彼のそんな表情を見ないサガにとってソレはとても新鮮に映る。


「お前はきっと、歴代の射手座の名を汚さない…立派な聖闘士になる。……私と共に、聖域を…女神を、来たるべき聖戦の日まで守るのだろう?」


真っ直ぐな蒼の双眸が、アイオロスを見つめて、告げた。アイオロスは数度目をまたたかせてから、やがて、ふっと微笑んだ。


「…その期待を裏切らない様、頑張るよ」
「裏切ったら、許さないからな」
「サガも、約束だからな。二人で…来るべき日まで、守ろう…」


どちらからともなく指が触れ合った。やがて、触れ合った手はきつくきつく絡みつく。互いで互いを強く握り締め合っていた。細かに震えていたのは、自分だったのか、彼だったのか。判らなかったけれど。
ただ、かたく約束を誓いあったはずなのに、指は震えていたその事実。


雨上がりのみせる虹を、二人で見つめた穏やかな日に。





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