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眠りから覚めて、ゆっくりと瞼を持ち上げれば、四角い空が見えた。 美しいスカイブルー。雲一つなく。 微睡みの心地よさに未だ浸るサガは、ぼんやりとしたまま言葉を紡いだ。 「………夢を、みた」 「夢?」 すぐ上から応える声。それもまた耳に心地の良い低音。翡翠の青年の膝枕で眠るサガはこくりと頷く。頭をなでてくれる彼の手が好きだった。 「私と同じ顔をした子供が一人で泣いている夢」 青年の手が止まる。それに気付かず、サガは続けた。 「…他にもたくさんの子供達が泣いていたんだ。金髪の子や、亜麻色の……少女も泣いていた。泣きやまないから、こぼれた涙が海になって」 「そう…」 「私も悲しくなった」 あの子はずっと泣いていたのに、私は気付かなかったんだと。 やがてまた彼の手が、サガの髪をなではじめる。静かに。ただ、穏やかに。 繰り返されるその心地よい動作に、サガはまた現と夢の境を彷徨い始めた。 「サガ」 漂う意識の中、聞こえた青年の声は何故だか寂しく悲しいものだった。どうしてそんな寂しい声だすのだろうか。サガには判らなかった。夢が何もかも絡め取ろうとしていく。 ただ、サガも寂しいと思った。 ここは温かく居心地が良いのに、とても寂しく悲しいと。 漂った先でサガは、広く美しい大空の中でたった一羽飛ぶ鳥の夢を見た。 072. 感傷 → 082. 気まぐれ 閑話。 |