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バベルの塔は、ヒトの愚かさを物語ったものだ。 天を手に入れる為にそれは高く高くと作られた。望まれた。傲慢なその願いは神の怒りに触れ、塔に神雷が落ちる。 そして、ヒトは絆を失った。共通の言葉を奪われ、世界に人々は散り散りになった。 神は告げた。全てを手に入れるのは神だけに許された所業であると。 *** 一瞬だけ臭った「不浄」に、思わず美しい眉をひそめ不快感を露わにした。 「どうされた、兄上」 「……また、だ」 「また、か」 「本当に懲りない」 「元々は人間だからか」 「何度殺し、そして、何度蘇らすのか」 いくらやり直したって変わらないのに。 兄は首をふり、弟は笑う。花が咲き乱れる庭園を見つめながら、二人は遠くで起こった事を感じ取っていた。何もかも二人は知っている。何故そうなってしまうのか。あの青年だって判っているのに、それでも繰り返す事をやめない…その彼の気持ちもまた二人は気付いている。 「それにしても、あの魂をこの世界に連れ込んでしまうとは……考えたものだ。これでは女神の手も届かない」 「しかし、最良とはいえない」 「あの魂は業が深すぎる」 哀れな者だ。 「自らの業に囚われて、記憶を失った。折角、手元に置いてもあの様ではな…」 「当然の結果だ。魂の軌跡をねじ曲げて、この世界に連れてきてしまった」 「………あのような人形になっても、それでも求めるか」 繰り返し求め、そして喪う。何度も何度も。 「死」がないから、終わらない。終われない。 それが、人間から星へと昇格したというのに未だ人間としての情が捨てきれなかった彼の報いだと、兄は思った。 情を捨てきれない彼が、神のように全て手に入れられるわけない。 059. 報い → 083. 体温 |