最後の楽園1
たとえば、もしも…の話です。

管理人の超自己満足&妄想捏造が入り交じった話。
あるわけないけど、こんな話があってもいい。というか、一度くらい見てみたいという欲求から生まれました。
なるべくならどんな二人でも受け入れられる!と思う方のみ、スクロールしてやって下さい。



















最後の楽園




むせかえるような花の香につられて、目が醒めた。
夢をみていたような気がするが何を見ていたかなんて思い出せない。よくある事だと思う。ただ、どうしようもなく悲しくて切なくて…その源がなんなのかでさえ判らないと云うのに、夢の名残かのように涙がこぼれていった。
優しく頬をなでていった風が、周りの花々を皆一様に揺らしていく。花弁が空に舞う。ああ、そう…花に囲まれているのだ。
視界に映るのは、花弁と草の端と、蒼い空。空気。清浄な。優しい。風の音しかしない。あと、花の香。美しい、世界。そして。

ふと、首を傾げる。
美しい世界の一部が黒く欠けたからだ。でも、すぐにそれも違うと気付く。未だぼんやりする眼をこらしてよく見つめる。これは、ヒトの影だ。
────青年が静かにこちらを見つめていた。

静かな表情をしている…というか、表情が抜け落ちた顔だった。ただ、眼を惹く碧の双眸が、じっと見つめてそらしてくれない。端正な面立ち。相手は座っているのか顔がよく見える。眼までかかる茶に近い金色の前髪はきっと邪魔だろうから切ってやりたいとふと思った。思って、つい手をのばしてしまった。
急に触れたい衝動にかられたからだ。触れようと思って、ゆるゆるとのばした指はでも、途中でためらってしまう。

だって、その青年が黙ったまま泣くからだ。

静かに。ただ、静かに。声はなく。頬をつたってこぼれおちてゆく。それは、下にいる自分の頬に落ちた。温かい。
彼は、泣いていた。何故、泣くのだろうか。
いつまで経ってもそらされない碧の瞳を見つめ返しながら、サガは今度こそその前髪に触れて、その下に隠れている碧をよく見えるようにする。
綺麗な…翡翠の瞳だと思った。


二人の頭上を、青空に吸い込まれるようにして花弁が舞っていく。
そこは、ただ美しいだけの空と花に包まれた世界だった。



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