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全くもってくだらない話である。 「サガの行方をご存知なのでしょう?」 いつにない真剣な表情と声に、シオンはくっと仮面の下から笑う。焦っている子供はそんなシオンの態度におもいきり眉をひそめた。拳が更につよく握り締められる。震えて、まるで弱々しい子供の手。その手で何が守れるという。何を壊すという。あまりにも幼い。 「お前は、未だ気付かないのか?」 判らなかったのか。 「何を」と小さく呟いた少年に、シオンは嗤う。哀れだと、思った。哀れで、愚かしい。 「あれは、お前が思い描くような子じゃないよ」 「…御言葉ですがっ」 ざわめく少年の小宇宙を感じ取りながら、ふと遠くに視線をやる。こちらを見つめる目に気付いたからだ。遠く、少年に気付かれないぎりぎりの距離からの視線。じっと、何かを求めるような乞うような視線をする子を、シオンは2人…いや1人しかしらない。何も求めてないむしろ何かを与えたいと日々願う子供の目はしかしいつでも何かを乞うてやまない。渇望してる。たとえば、シオンが普通の子供の相手をする時に頭を優しくなでるその行為とか。 (……自ら離れておきながら、それでも気になるか) それでも、この少年2人の視線が交わる事は永遠に来ないのだろう。いや、もし交わる日があるのならそれはきっと、全てが明るみになる死の間際なのだろうか。どちらにしても。 「だから、お前達は駄目なのだ」 低く冷たい、まるで断罪するかのような重い声に、翡翠の瞳の少年がぐっと唇をひきむすぶ。あきらめたかの様に目を伏せる少年、そしてもういないもう1人の少年を想い、今はみえない天の星をシオンは仰ぎ見た。 一途に想うことしかできない少年。少年がもう1人の少年を絶対に守り続けるのだろう。全てから。そして、その想いがサガを殺すのだ。殺していくのだ。 哀れで、愚かだ。2人の少年も、そしてそうしてしまったシオン自身も。 天の星から下を見下ろしてしまえば、どの人間もちっぽけな生き物にしかみえない。 027. 瞳に映る |