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その瞬間、ふっとこころが軽くなったきがした。 今までずっとずっともやもやしていた感情が一体何だったのか、よくやく判ったきがしたからだ。 (軽くなったというよりも、虚しくなったのかも) 俺の前で、(俺好みの)綺麗な顔をぐちゃぐちゃにしながら、べそをかきつづけるサガは。 黒い、法衣をみにまとった金糸のヒトは、その手を俺の血で真っ赤にそめながら、泣き続けていた。 綺麗なサガは、きっと綺麗な泣き方をするんだろうな、と思っていたのに、実際みてみたら、彼の泣き方はまるで弟のなさけない泣き方そっくりだった。 泣き方をしらない、なみだ。 彼が、「どうしてなんだ」と、嗚咽混じりにつげたから、心底判らないと絶望しきった声でいうものだから、だから、俺は絶句したのだ。 そうして、ようやく気付いたのだ。 (今すぐ、俺は君を殺してやりたい) いつも、いつだって、俺からすこしはなれた風の吹く場所で、俺にまるで問うような、乞うような、そんな眼をしていたかのヒトが、俺は大嫌いだった。 彼は、俺をなんだと思っていたのだろう。 「それくらい、自分で考えてみなよ」 その星よりも儚い涙をひとしずくでも飲めればそれだけで、そんな程度で満たされるかもしれないのに、それすらかなわない俺の人生は全くもって報われないのだった。 さようなら、俺の運命。俺はこのまま君の泣き顔とともに眠ります。 英雄が人殺しに戻った日 (071009) |