「天秤座!おまえ、また外からひろってきたな!」 それが、聖域に一歩足を踏み入れた途端、頭上からふってきた第一声だった。 テンマが顔をあげると、数段先にたつ第一の宮の前に誰かが仁王立ちしていた。横の黒髪の男に、誰なのか問おうとするより先に「シオン!」と何だかもの凄く嫌そうな顔で男がそう応えていた。 「また、とは何だ。おぬしには関係なかろう。わしは教皇とアテナに逢わねばならん。そこを通せ」 「ハッ!俺の宮を通って外へでてきて帰ってくる度、しらん餓鬼ばかりを連れてきよって。その拾い癖たいがいにしろ」 偉そうなその態度にそれまで静観していたテンマもぶちっときれた。もとより、アローンが呆れる程短気だ。 「…拾い、って何だよ…!俺は動物か??どこの誰だかしらないが、ふざけんなっ…!!!」 「ほお、小僧おれに歯向かう気か。命知らずな」 「…テンマっ!阿呆、シオンもなにかまえようとしてるんだっ!」 「フン、小僧一人では不足だな。天秤座、おまえ小僧に加勢していいぞ。良い余興だ」 かっちーん!(童虎もシオン様に対する日頃の鬱憤もあってついに血管ぶちきれた音) 聖域の守り最初の要であるそこで今、闘いのゴングが鳴り響こうとした…まさにその時、 「シオン!童虎っ!阿呆かおまえたち!」 ゴン、ゴン、ゴン。 あっというまに三人の頭にでかいコブをつくりだした男は、白いマントをひるがえして俺の前に立った。いつのまに現れたのか。眩い黄金の聖衣と、光を抱く翼。闇夜を切り裂く朝陽の色を思いだした。顔は逆光でよくみえない。 こちらを見つめる視線が、ふっと和らぐ。 「君の事はすでにきいているよ。…ああ、本当に綺麗な小宇宙だ。真っ直ぐな」 相変わらず顔はみえないが、ふわりと微笑んだ気配だけが判った。今までかんじた事もないようなあたたかでやさしい風に包まれた気がする。 シオンがぷいと顔をそむけ消えてしまったから、2人はまた上をめざして進んだ。童虎は頭のこぶがまだ痛いのか時折さすっている。相変わらず手加減のない人だとぶつぶつ呟きながら。 「……今のあの人は?」 「ああ、おぬし、運がいいな。滅多に下に降りてこない最高位の聖闘士だ。射手座の黄金聖闘士。英雄の性をもつ」 「英雄?」 多くの人を、平和を、輝かしいばかりの活躍で守り救う短命の人のことだと、童虎は告げた。 (060831) 「天秤!天秤!」としかいつも呼ばないシオン様に童虎は「名前で呼べ!」とかそんなお約束展開があれば可愛いですね。。 |